瞳は、体と魂が出会う場所
ある研究によれば、私たちは毎日10〜200回嘘をつかれていると言います。
初めて会う人同士は、最初の10分で3回嘘をつくという研究があります。
私たちは、知人よりも 見知らぬ人により嘘をつき、
内向型の人より 外向型の人の方がより嘘をつく。
男性は 他人のことより自分のことについて8倍嘘をつき、
女性は 人を守るためにより嘘をつく。
パメラ・メイヤー『嘘の見抜き方(TEDスピーチ)』より
多くは罪のない「嘘」でしょう。
たとえば、
恋人に体重を少なめに言うような「些細な嘘」
とっぴな服装の友人に「個性的ね」と言う「気遣いの嘘」
そして、道を問われて間違った案内をしてしまうのは「つくつもりのない、結果の嘘」
私たちは、毎日たくさんの嘘をつき・つかれ、
それを寛容に見逃しながら、コミュニケーションを円滑にしています。
この切り口から見ると、嘘や秘密も大切なものだと思えます。
しかし、世の中には「危険な嘘」も氾濫している。
オレオレ詐欺、偽のネット友達、スパムメール、フェイクニュース、大企業による品質偽装・・・。
そういう時代ですから、「嘘を見抜くスキル」が注目されるのも当然の流れでしょう。
やれ「視線を読め」だの、
「顔や体の一部を触ったら怪しい」だの「声のトーンに注目せよ」、「足の動きを見るのだ」と、さまざまな情報が飛び交っています。
でも、
行動から嘘を見抜くのはそれほど易しいことではありません。
世界の多くの国で「嘘つきは視線をそらす」と信じられているのは本当です。
でも考えてみてください。
「視線を逸らしたり」「瞬きが増えたり」するのは、嘘をついているときだけでしょうか?
「本当だと信じてもらえるかしら?」
「これを言ったら怒られるに違いない」と、不安な気持ちを抱えていたら、私たちの体の
動きは、嘘を言っているときのそれに似ると思いませんか?
心の状態が「不安」なら、体も「不安」な動きになるのです。
嘘を言っているか、本当のことを話しているかが問題なのではない。
実際、多くの研究者が(心理学・社会学など)視線から嘘を見抜く実験を繰り返していますが、正答率が50%を上回ることは滅多にないそうです。
嘘か本当かの二択なのに・・です。
・・近頃、「正直さ」の価値観が強すぎて窮屈なムードを感じることがあります。
「嘘を見抜く」心理学の雑学は楽しい。
でも、根拠の怪しい思い込みから人を「嘘つき呼ばわり」することは怖い。
我々は嘘をつけるし、真実を語りもする。
また、欺瞞を見抜き、見落としたりもする。
誤魔化されたり、真実を知りもするのである。
我々には色々な側面がある。
これこそが人間の真の姿なのである。
ポール・エクマン博士(米ドラマ『Lie To Me』ライトマン博士のモデル)
「コミュニケーションを円滑にしたい」と言う動機からすれば、
むしろ「嘘力」の弱いことが問題であるケースも多いのではないでしょうか。
私たちは、嘘をつきながら正直に生きることもできるのです。
瞳を見つめあうような場面にあっては、
些細な嘘に構わず、その人の魂に触れたいものだと 私は思います。
思いがけず可愛いクロージングになりました(笑)
それに合わせてこんな曲『♪ I say a little prayer '67』Aretha Feanklin
https://www.youtube.com/watch?v=KtBbyglq37E&list=RD0CFuCYNx-1g&index=6
*1:嘘に関する国際研究チーム(Global Deception Research Team)が行った研究/世界58カ国の2,320人を対象に「人が嘘をつくとき、あなたにはそれがどうしてわかりますか?」という質問をし、1万件以上の回答(複数回答)を得た/「視線をそらす」が63.6%でダントツの1位であった/『A World Of Lies』2006発表論文