いつだって上機嫌

    言葉より雄弁な「ボディ・ランゲージ」 コミュニケーションが変わります

あちらの綺麗なヤツをお持ちします

 

こんにちは、Nijouです。

 皆さま、 役割語*1という概念をご存知でしょうか。

たとえば、

「私は知っている」ということを、

ボク知ってるよ」と言えば幼い男の子、

ワシは知っておるのじゃぞ」と言えば老人、

わたくし、存じておりますわ」と言えば貴婦人のイメージが浮かびます。

 たぶん皆さんも同じでしょう。

こんな風に、

話し手のイメージと密接につながった話し方の類型のことを、「役割語」と言います。

 

この役割語を間違えると、おかしな世界が出来上がる。

たとえば、

お蝶夫人が金の巻き毛を揺らしながら、

 「ヒロミどん、コートの中では誰でも独りきりでごわす!

ヒロミの異変に気づいた北斗の拳のケンシロウが、

 「お蝶、ヒロミはもう亡くなっていてよ!

とそこへ、耳をネズミに齧られた猫型ロボットが現れて

 「オレ、ドラえもんだぜ✨」と、ポケットからAEDを取り出してヒロミを救う

なんて具合に、

役割語を違えると言語と非言語のイメージがチグハグになって世界観が歪んでしまう。*2

 

今日のタイトル

あちらの綺麗なヤツをお持ちします」というのは、先日、あるデパートの女性販売員に言われた台詞です。

世界観が歪むほどのことはありませんが、「ヤツ」とは話し手のイメージに合わない。

また、こちらの期待に届かない話し方で少し残念な気持ちがしました。

 

他者とコミュニケーションするとき、私たちは互いに相手の役割に期待を持ちます。

その期待とイコールの話し方や態度だったら違和感がない。

そして、期待を上回る話し方や態度で接すれば相手は満足します。

結果、コミュニケーションがスムースになる。

皆さんは、ご自身への期待やイメージにふさわしい話し方をしていますか?

 

そろそろお昼休みが終わるころでしょうか。

さ、午後も上機嫌でいきましょう!

*1:日本語学者の金水敏氏が提唱した概念で、2003年頃から広く知られるようになりました/日本語は一人称や語尾のバリエーションが多いため、役割語が豊富/英語などの他言語にはあまりない表現方法で、日本語の特徴といえます

*2:「話し方(発声、抑揚、テンポ等のパラランゲージ)」は、非言語分野の研究対象でもあります/とくにパブリックスピーキングにはボディランゲージの印象が大きく影響するため、非言語の講座で扱っています